1月19日品川区議会は開催されました
10時からの本会議開会では
請求代表者2名が、各10分との制約で意見陳述を行いました
最初の請求代表者の意見陳述が
10分を超過すると、議員から野次がありましたが
2人の請求代表者は堂々と意見陳述を行いました
その後の総務委員会(所属区議9名うち1名病欠)では
委員長(塚本氏)を除く全出席区議が質問
それに対し総務課長が答弁し
その後、賛否を明らかにする討議、裁決がありました
賛成2名で少数否決とはなりましたが
品川区当局の答弁は
条約の趣旨、条文をねじまげることなく、
ほぼ正確に解釈されていました
そのため
「国の見解」というただ一点で抗するしかない姿が浮き彫りになりました
午後になり本会議再開
総務委員長が審議の経過、採決結果を報告し
その後、沢田(共産)区議、井上(ネット)区議が賛成討論を展開
反対討論はなく、
賛成10名(内訳:共産7、ネット2、区民連合1)で少数否決されました
今後も引き続き
区民主権、非戦の町・品川の実現−
国民保護法反対、非核平和宣言推進、
無防備条例請求再チャレンジ等、
改憲反対にむけての運動を進めていきたいと思います
これからもよろしくおねがいいたします
2006年1月17日
品川区無防備平和条例案に対する品川区長意見についての見解
品川区無防備平和条例の会
1月4日、当会は地方自治法第74条に基づき、8,694筆の署名を添えて品川区無防備平和条例の制定を求め品川区長に直接請求を行ないました。これに伴い品川区長は意見を付してこの条例案を区議会に附議することになりますが、_橋区長はその「意見」を明らかにしました。この「意見」について当会は以下のとおり見解を表明します。
品川区長は、無防備地域を宣言する主体=「適当な当局」に関して国の見解をそのまま引用し、自治体は宣言を行うことができない、したがって地方自治法第14条第1項の規定により条例化することはできない、と結論づけています。
この「意見」は以下の3点において誤りであり、容認することはできません。
第1に、区長「意見」はジュネーブ条約第一追加議定書第59条の誤った解釈に基づくものであり認められません。日本政府は、ジュネーブ条約追加議定書に関して最終的・有権的解釈権を持っていません。その日本政府の見解を唯一の根拠として条例案を否定することは誤りです。この条約の立法過程を見ると、当初、宣言主体は「国家」(a Party)に限定されていたものが、論議が進む中で「適当な当局」(appropriate authorities)に変えられたという経過があります。また赤十字国際委員会は、ジュネーブ条約第一追加議定書第59条「無防備地域」の「宣言主体」に関する解釈で、「困難な状況においては、宣言は、地方の軍指揮官から出されることもありうるし、あるいは、町長、市長、知事といった地方民政当局から出されることさえありうる」と述べています。このような事実から、自治体が宣言主体となりうることは明白です。ただ問題とされることがあるとするならば、「困難な状況」とはどのような状況を言うのか、「軍当局の同意が必要」であるがその手続きをどうするのか、が明確に規定されていないことだけです。しかし、これは日本政府が明確にし、手続き法等を整備すれば足りることです。したがって国の見解をもとに条例案を否定することは誤りであると言わざるをえません。
第2に、区長「意見」は、地方自治・住民自治を事実上否定する立場に立つものであり認められません。私たちは、戦時において(あってはならないことですが)、住民の生命・財産を守るためにどのような方策を講ずるべきかを真剣に考え、その具体策として本条例を提起しているのです。ところが区長「意見」には、それに何ら応えようとする姿勢がうかがえません。自治体の責務は、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」ことです(地方自治法第1条の二)。この地自法の趣旨に照らすならば本条例を制定することは可能であり、必要でもあります。ところが品川区長は、単なる「国の見解」(法令でも何でもありません)をたてに、地自法第14条第1項を持ち出し条例化を拒みました。これは地方自治、住民自治を否定する対応です。
第3に、区長「意見」は、品川区の「非核平和都市品川宣言」やこれに基づく平和行政、平和施策の推進という品川区の良き歴史を発展させる立場に立たない後ろ向きの見解です。「非核平和都市品川宣言」の意義を私たちは高く評価し、それを発展させること、平和行政のさらなる充実を願っています。なぜなら現在の日本の状況が、危機的と言っても過言ではない実態にあるからです。イラクへの自衛隊派兵、在日米軍基地再編―日米共同作戦体制の整備の進行、そして改憲―現行憲法第9条2項削除の動きなど、日本が再び「戦争をする国」に変えられるのではないかとの危惧の念を抱かざるをえません。これに伴ってテロの危険すら現実性を帯びてきています。それゆえに今こそ、憲法を地域の中に根づかせ、地域の平和力を高め、戦争をしない地域づくりを進めることが問われています。平和をつくり広げること、それこそが何の武器も持たない民衆の命を守る唯一の道だからです。無防備平和条例は、品川の中でそれを具体化する試み、出発点です。非核平和都市宣言を発展させることこそが必要です。それを一顧だにせず、ただ否定するという姿勢は到底納得できるものではありません。
私たちは品川区長がこのような見解を撤回され、無防備平和条例を実現する立場に立たれるよう強く願うものです。
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区長意見
意見
今回の直接請求に係る条例案(以下「本条例案」という。)は、区の責務として区民の平和と安全を保障することを目的として(第1条)、区民の平和的生存権(第2条)、区の責務(第3条)、非核政策(第4条)、無防備地域宣言(第5条)、平和行政の推進(第6条)、平和予算の計上(第7条)等について定めるというものであります。
本条例案の中心となる無防備地域宣言につきましては、ジュネーヴ条約第一追加議定書第59条を根拠に、「戦時下において、敵対する紛争当事国による占領に対して開放する特別な保護の下にある地域」として宣言するものでありますが、この宣言は「適当な当局」が行うこととされております。この無防備地域宣言をすることができる「適当な当局」に関する国の見解は、「当該地域の防衛に責任を有する当局、すなわち我が国においては、国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の無防備地域の宣言を行うことはできない」というものであり、さらに、総務大臣は国会での答弁において、「たとえ特定の都市が無防備地域の宣言をしたとしても、それ第一追加議定書に規定されている宣言には当たらない」と明言しております。
したがいまして、本条例案は、普通地方公共団体はその権限に属する事務に関して条例を制定することができると定めれれた地方自治法第14条第1項の規定に抵触するものであり、また、仮に無防備地域宣言を行ったとしても、実質的な効力を有しないことから、本条例案による条例制定について反対するものであります。
本区は、昭和60年3月に、区議会の全会一致で「非核平和都市品川宣言」を行い、その中で、非核三原則や平和の実現についての姿勢や考え方を明らかにしているところであります。また、長期基本計画におきましても、非核・平和意識の高揚と国際交流の推進を重点施策として位置付け、これまでさまざまな事業を展開してまいりました。今後とも、この「非核平和都市品川宣言」の理念を尊重し、区民一人ひとりに平和への願いとその尊さを伝えるため、非核平和や国際交流に関する施策に取り組み、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現に向けて努力していく所存であります。
平成18年1月17日
品川区長 高橋久二